山梨のワイン造り ブドウ栽培の今!#16
「今年の梅雨は長すぎた・・・。」と、ついつい心の声が出てしまうほど、ジメジメ、曇天続きの空模様が続いた山梨県内。
今シーズンはブドウには、難しい年となっているようです。
今年は、山梨県内では稀な、「雹(ひょう)」によって、ブドウへの被害も確認。
県内ニュースでも取り上げられています。
台風、雹(ひょう)、夕立、高温など、お天気ばかりはどうにもできないわけですが、モンデ酒造ではそんな難敵の天候にも負けぬよう、足しげく自社畑へ出かけて、昨年よりも人員を投入して、より良いブドウを作るべく、あの手この手で対策を行っています!
そんな中、7月下旬のモンデ酒造には、たくさんの黄色い箱が積まれたトラックが到着。
実はこれ、モンデ酒造がある笛吹市のすぐ隣、甲府市内で収穫された『デラウェア』。
今年のブドウが入ってきたということは・・・。
そうです。始まったんです。
7月30日、ついに2019年の仕込みがスタートしました。
去年のデラウェアの仕込みが始まったのは、7月6日。
今年は3週間ほど遅めのスタートに。
では、何故こんなに遅かったのか・・・。
冒頭でもお伝えしたとおり、ことしは“難しい年”。
長雨などで生育が思ったようにいかない。
雨や湿気で病気になってしまい、泣く泣く房ごと切り落としてしまう。
などなど、農家さんにとっては苦労がたえない年だったんです・・・。
だったんですが!
モンデ酒造に届いたのは、ご覧のようになんとも美味しそうな立派なブドウ。
味見してみても、とても甘いデラウェア、およそ8トンの仕込みが始まりました。
このブドウをコンベアで除梗破砕機(実と茎に分ける機械)へ入れ、プレス機で果汁のみを搾り出しタンクへ。
これからこのブドウたちが、ワインへと変貌していきます。
一体どんな過程で仕込みをするのか。
詳細は昨年(2018年)のブログにてご紹介していますので、合せてご覧ください!
(『どんな過程でデラウェアをワインにしていくのか?』デラウェア仕込みの詳細は#6ブログをご覧ください。)
https://www.mondewinery.co.jp/wp/blog/brewing20180719_506/
そんな難しい年ではありますが、モンデ酒造の自社畑では・・・。
順調にベレーゾンが始まり、黒く、美味しそうなブドウが実っています!
こちらは、モンデ酒造のすぐ横にある、『上屋敷畑』の写真。
昨年と比べ色づきが多少遅くはありましたが、黒く色がついてきたマスカット・ベーリーAを一粒つまんでみると・・・
たくさんの日差しを浴びていて、少しアツアツですが、甘い!
そして・・・。
会社から数分の場所にある、『塚ノ越畑』へ行ってみると。
甲州ブドウもこの通り色づき、薄いピンク色に!
間近に控えている収穫に向けて、順調に成長しています!
写真からもお分かり頂けると思いますが、梅雨があけてからというものの、本当に暑い日が続いた山梨県内。
甲府や勝沼ではおよそ2週間、毎日35度以上の猛暑日となった日もありました。
そこで気になるのが、着色不足。
ブドウが色づく上でポイントの1つとなるのが昼と夜の気温差なのですが、あまりにもずーっと暑く、夜も気温が下がらないような日が続くと、色づきが悪くなる原因となり得るんです。
農家さんや業者からも、「ちょっと色づきがよくないなぁ」なんて話もチラホラ話題にのぼります。モンデ酒造では、色づきの良い房だけを選んで収穫をお願いするなど、収穫の調整についても話し合いをしながらおいしいブドウの栽培をお願いしています。
そんな中、モンデ酒造でも、この着色不足を防ぐための対策を実施。
栽培する品種の中でも色づきに心配のあった、マスカット・ベーリーAでは、以下のような対策を行いました。
まずは、収量の調整。
枝の長さや、強さ、木の樹勢などを見ながら、房の数を調整し、切り落としてしまいます。
例えば、1本の枝に3房もブドウが実っていると・・・養分水分が、分散してしまいます。
そこで、一見もったいないようですが、房を切ることで養分水分を集中させていくのです。
そして、ブドウに光を当てるため、昨年は行わなかったブドウの周りの葉っぱを取り除く「除葉」を行い、着色の向上を目指しています。
また、高温が続いたため、例年以上に雑草の管理を行い、涼しい風が入り、風通しが良くなるよう、念入りな草刈りも行いました。
その甲斐あってか、これまでのところ順調に着色して、おいしい、甘いブドウが実ってきています。
立秋を迎え、暦の上では秋が始まり、山梨市の牧丘畑では数多くのトンボが見られるようになってきました。収穫まで、あと一息、ぜひ今年のブドウにもご期待ください!
そして、今回のブログ最後は、山梨県が行っている事業についてのお話です。
その名も、『醸造用ぶどうづくりチャレンジ事業』。
山梨県では、高齢化などによって、醸造用ぶどうを生産する農家の減少が問題となっており、新たな担い手とブドウ園の確保が急務となっています。
そのため、県では醸造用ぶどうの栽培やワインの生産に参入する人を対象に、年間を通じて栽培管理などの知識を深めるセミナーや、栽培管理やワインの製造体験などを行う実習を企画。
モンデ酒造は、この事業の実習先となり、8月3日(土)に第一回目の実習が行われました。
初回の参加者は25名。皆様、これから数か月よろしくお願いします!!(※定員:40名となり、募集は締め切られています)
1日目の今回、まずはモンデ酒造の工場見学を行い、普段は絶対に入れない醸造場へご案内。
場内では、始まったばかりのデラウェアの仕込みの様子をご覧いただきました。
実際にブドウがワインへとなっていく過程を、目を丸くして、じっくりと観察されていました。
そして、午後からは山梨市の牧丘へ。
新たに拡張した場所を含め、約6反の畑をご覧いただきました。
標高800メートルほどにある場所とはいえ、真夏の日差しが降り注ぐ、暑い畑。
栽培担当者が、大きな畑を皆さんと一緒に歩きながら、牧丘畑の概要を説明し、品種や、現在行っている作業について、仕立て方、防除、害獣・病気・虫対策、などなど様々なことをお話しさせていただきました。
参加者の皆様からはたくさんの鋭いご質問も頂き、予定を少しオーバーしながらの1日目となりました。
また、モンデ酒造の契約農家でもある、熟練の農家さんにもご協力いただき、山梨のぶどう栽培の歴史や、魅力について、そしてぶどう栽培の厳しさについても、たくさんの経験談をご紹介いただきました。
ありがとうございました!
実はこの後、もの凄い雨雲の通り道となってしまい、びっくりするほどの大雨に遭遇。
参加者の皆様と肩を寄せあい、雨宿り。
雨があがるのを待ちながらも続いたのは、ここでもブドウ談義でした。
残念ながら雨の影響もあり、この後予定していた農作業実習は中止となってしまった1日目。
次回は、モンデ酒造の会社周辺にある畑での収穫に合わせ、開催予定となっています。
収穫体験をしながら、また皆様と様々な話をさせていただきたいと思っています。
1日目終了後に行った、アンケートでも皆様からたくさんの率直な意見をいただきました。
ご満足いただけたという回答も数多くいただき、ありがとうございました。
一方で、「もっと聞きたかった」、「もっと説明してほしかった」などといったご要望もいただきました。次回以降でまた改めて、たくさんのお話をさせていただきたいと思います。
ぜひ、よろしくお願い致します。
ついに今シーズンの仕込みが始まり、これから巨峰やアジロン、ネオマスカットなどたくさんのブドウたちが待ち構えております。今年もぜひ、ご期待ください。
収穫までもう少し、暑さに負けず、天候にもめげず、おいしいブドウ、ワインをつくっていきます。
皆様もまだまだ暑い日が続きますので、くれぐれもお体にお気をつけてくださいませ。
今回もブログを読んでいただきありがとうございました。
醸造課 清水